Key word
- 電力変換・・・直流の電圧変換や交流・直流の変換など、自動車やモバイル情報端末に必須の技術
- DC-DCコンバータ・・・直流の電圧を変換する回路
- AC-DCコンバータ・・・交流を直流に変換する回路
- インバータ・・・直流を交流や高周波エネルギーに変換する回路
GaN半導体による電力変換
次世代パワー半導体として、GaNパワー半導体やSiCパワー半導体が注目されています。
当研究室では、GaN(窒化ガリウム)半導体FETのスイッチングのメカニズムを回路シミュレータにより再現することに成功しました。
GaNパワー半導体の特性を活かして、インダクタやキャパシタを含めた電力変換器全体を最適化設計し、世界最高電力密度の電力変換器や、全出力領域99%のインバータ、13.56MHz駆動のコンバータを製作しています。
13.56MHz駆動
Φ2級インバータ
- 入力電圧:75 [V]
- 出力容量:200 [W]
- SW周波数:13.56 [MHz]
このインバータはGaNパワー半導体の高周波特性を引き出すことで、従来のシリコンパワー半導体や縦型構造のSiCパワー半導体では到達困難な13.56MHzのスイッチング駆動を実現しています。
ゲート駆動回路に独自技術を搭載しており、MIT等の他研究グループとの差別化は、負荷変動にも対応可能である点となります。
SiC半導体による電力変換
次世代パワー半導体として注目されているSiCパワー半導体の応用について研究を行っています。
製作したフルSiCインバータは既存のIGBTインバータよりも高効率です。実験機は2.2kWの誘導モーターを負荷として駆動させることに成功しました。
当研究室では、フルSiCインバータを安定して動作させるためのモジュール技術、高効率化がハイブリッドカー等のシステムに与える省エネ効果等、ミクロ的視点とマクロ的視点から総合的に研究を行っています。
ワイヤレス電力伝送
ワイヤレス電力伝送技術はスマートフォン等のモバイル機器充電のために実用化され、電気自動車への給電への応用も世界的に研究されています。
本研究室では車載用途や船舶、航空機などの用途に適したワイヤレス給電技術を研究し、また、新原理のワイヤレス給電方式の基礎研究も行っています。
次世代磁気部品
パワエレ回路にはトランス、インダクタといった磁気部品が使われます。新規の磁気コア構造や巻線構造を提案し、既存のものよりもエネルギー密度を向上させる手法を提案・実証をしています
複数の磁気コアを一体化することで磁束を融通し合い、全体の体積と重量を低減することに成功しました。
異なる材質のコアの一体化にも挑戦し、電力特性や周波数特性の向上を目指しています。
電力変換回路の低ノイズ化
GaN-FETやSiC-MOSFETなどの優れた半導体の登場により、高効率化や高周波駆動による小型軽量化が実現できるようになってきました。しかし、他の装置に影響を与えないよう、または自身が受けないように、電力変換回路には電磁環境両立性(EMC)が求められます。
現実問題としては、これらのノイズは規格(CISPRなど)が制定されており、製品化の際にはこれを満足する必要性があるとともに、高周波駆動化はこの産業応用上この問題に大きくぶつかります。
そこで本研究室では、優れた半導体のより良い活用方法+高周波駆動化の際に問題となる、ノイズ低減手法を提案をしています。
ソーラー電力制御
太陽光発電は日光が雲にさえぎられたりするたびに発電電圧が変化するため、電圧を一定にして家庭機器に給電するためにパワーコンディショナという回路が使用されます。
当研究室では、次世代半導体や複合一体化磁気部品を用いることでパワーコンディショナを高効率化・小型化することに取り組んでいます。
ペーパ・コンバータ
GaNパワー半導体の極限性能を検証するため、27.12MHzで駆動させたφ2インバータを実機構築しています。従来のスイッチング周波数の2〜3桁以上、高周波動作を実現することで、電力変換器を非常に薄く、コンバータをあたかも紙の様な形状とすることが可能となります。我々は、この放熱性に優れたコンバータ形状を「ペーパ・コンバータ」と名付け、その応用展開を模索しています。
電動航空機、空飛ぶ車への挑戦
環境負荷の観点から、航空機の電動化が注目されています。また、人々のモビリティ向上のニーズや自動運転技術の向上により、空飛ぶ車の実現が現実味を帯びてきています。これらの電動航空機においては、高出力モーターを駆動するためのパワエレ回路が重要になります。こうした用途に適したコンバータ、インバータの最適化やモーター制御の研究に挑戦しています。